-西表島の自然をカヌー・トレッキングで遊ぶ・楽しむ・体験する-

西表島フィールドニュース

■2018年3月6日(火)

2018年3月6日(火)の観測時の気象状況
天気 くもり
気温 24℃
風向きと風速 北東の風 穏やかに
安栄丸運航状況 上原欠航、大原運航

■きょうの「旬」

パイナップル?いいえ「アダンの実」です

 

【特徴】トゲトゲの葉。パイナップルのような実

【出会える度】★★★★★

【分布】トカラ列島、口之島以南の琉球列島、中国南部、東南アジア

 

アダン

西表島の道路や海岸沿いでよく見かける植物「アダン」

葉にはトゲがあり、触れると痛いです。

海岸沿いや砂浜にも生えている木で、過酷な環境下でも元気に育ちます。

写真の右に写っている葉がアダンの葉です。

南の島の写真によく写っている植物ですね。

 

パイナップルのような実

実はパイナップルのような、悪魔の実のような形をしています。

ちらっと見ただけでは、パイナップルがなっているように見えますが、

実は、パイナップルとは似ても似つかない実なんです。

 

さわってもらうと、まず、固い。

とてつもなく固い。

これを食べようと思わないぐらい固い。

ええ、固いんです。

殴ると、こぶしがやられるぐらい固いんです。

 

そんな固いアダンの実ですが、

熟すとバラバラと崩れ、分裂します。

緑だった実が黄色、オレンジと色が変わっていきます。

 

地面に落ちるとバラバラに…

バラバラバラと、バラバラ事件が…

このバラバラになった、ひとつずつが

実は種でもあり、芽がでてきます。

 

果肉は食べられるけど…

歯を巨大化させたような形をしているのですが、

歯でいうと歯茎の部分。

種の基部の部分についた果肉が食べられることでも有名です。

 

ですが、ですが、

ハッキリ言って、おススメできません。

不味いです。

 

カラスがよく咥えて食べているので、

美味しいのかな

なんて、つられて食べてみたのですが、

オレンジの果肉は渋く、美味しくない。

不味いです。

これしか食べるものがないのなら食べますが

進んで食べようとは思えないレベルの不味さです。

 

黄色いのはどうだろうと、

去年再度チャレンジ!

 

黄色いのは、ほんのりと甘い感じ。

水っぽい甘さです。

これは、イケる。

だいぶ薄味ですが、柿を水で20倍に薄めた味がします。

 

甘い香りがする植物

香りはオレンジも黄色も

柿が熟した香りがしていい香りがします。

匂いにつられるとはこのことでしょうね。

見かけるとついつい、

クンクンと香りを嗅ぎにいってしまう植物です。

 

カラスだけではなく、ヤシガニも好きな実です。

登ってまで食べにくるので、

野生の動物にとっては美味しい実なんでしょうね。

舌が肥えた人間にとっては、そうでもないですが。

 

新芽は美味しい

でも、アダンは葉の新芽の部分を食べます。

アダンチャンプルーやアダンの天ぷらとして

食べられ、天ぷらはホクホクして美味しいです。

 

田中一村も描いたアダン

絵画の題材になることもあるアダン。

日本画壇から出て、単身、奄美大島で絵をかいて生涯を送った

田中一村さんもアダンを題材にとても写実的な絵を描かれています。

一村さんの書く絵は写実的で色味も鮮やか。

初めて本物を見た時は透明感の中に生命の躍動感。

生命が紙の中に閉じ込められた印象を受けました。

ゾクッとする絵。

日本画を書かれていただけあって、線が繊細で透けるような絵を描く人。

 

ですが、一村さんのアダンはどこか物悲しく見えます。

砂浜にたたずむアダンに

本州から奄美に一人で移り住み生活を送る自分を見たのかもしれませんね。

 

伊藤若冲も芭蕉をモチーフに襖絵を書いたりと

南国の植物は美の題材になるような

生命のほとばしり、躍動するものが多いのかもしれませんね。

 

アダンの力強さを感じてください

アダンからも、力強さを感じます。

西表島ではアダンは必ず見ることができる植物です。

旅行で西表島へ来た際は、

普段、目をやらない植物にも注目してみてください。

 

ガイド飯田(写真/文)

 

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西表島 フィールドへの想い

西表島フィールドニュースは、2002年の夏から始まりました。始めは数日おきに書いていましたが、やがて毎日書くようになってきました。
西表島の様々な自然の様子を中心にエルビーカヤックステーションのカヤックツアーの中での出来事や出会いをこのページでお伝えしています。
正直、このフィールドニュース毎日は大変な作業ですが、実はフィールドに出るガイドにとっては、いい勉強になります。<
写真を撮り、文章を書くことで、フィールドを細かく見るようになりました。一見南国西表島の自然には、変化がないようですが、実はしっかりと四季折々の変化があります。
しかし、その変化に気付くためには、毎日意識して自然を見ていくことが必要なのです。気温の変化、季節による風向きの変化なども生物の営みに影響があります。そんなことをエルビーカヤックのガイドたちは大切に考えています。(2005年5月)